白。何者にも犯されることの無い純白の白。自分はそこにいる。否、自分はそこに「在った」。
何も考えてはいなかった。ただ在るがままを受け入れ、感受し、身を任せている。
青。揺らぐ青。望まれる青。存在すること自体が作られた青。白の中にあり、尚飲まれることのない青。
白を侵食せず、白に侵食されず。ただそこに異質なる存在として在る青。誰も気に留めない。留めることが出来ない。
―見つけた―
その「青」が呟く。白き闇に飲まれることなく、はっきりとこちらに向かって。その呟きに聞き返そうとするが、白に飲まれた自分は動くことも、答えることもできない。仕方なく、意識だけをそちらに向ける。
―大丈夫。すぐに自由になるよ―
その言葉が戒めを解いたのか、白と青だけの世界に別の声・・・自分の声が響く。
「お前は・・・?それに、自由になるとはどういう・・・」
しかしその青は、こちらの問いかけには答えずに続ける。詠うような声で。涼やかに舞うように。
―私は君を見つけた。そして君も私を見つけた。だから・・・あとは鍵を見つけるだけ。そしてそれもやがて、君を見つける。君が見つける―
「いったい何を言っているんだ?それにここは何なんだ?」
そこに在るとはいえ、そのことすらその青を軸にして気が付いたことだ。何も分かるわけは無い。この存在も、青い存在のことも。しかしやはり、青はこちらの問いかけには答えない。
―時が来れば、解き放つ鍵が揃えば・・・この全てが停滞した世界が終わる。変化は変質を呼び、新しき方向へと世界は向かう。その時にまた会いましょう。存在の規格外としての可能性、そして人類の最強となる者よ・・・―
「お前は何を言って・・・」
その言葉を全て言い終える前に視界を白とも青ともつかない光が遮る。荒々しく、しかし暖かに。
そして、光に飲まれ、意識が消えた瞬間・・・彼は「世界」に目を向けた・・・
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